前回の記事【マンスリーレンタカー比べてみた(レンタカー料金編)】に引き続き、今回は各社の加入している保険を比較してみたいと思います。
意外に思われる方もいるかもしれませんが、レンタカーに付保されている保険は必ずしも同一ではありません。
必ず同一となるのは強制保険である自賠責保険となり、任意保険はレンタカーの許可基準要件に満たす範囲内であれば自由に設定することができます。
レンタカーの許可基準では、
貸渡自動車は、事故を起こした場合に備えて、十分な補償を行いうる次に 定める自動車保険に加入するものであること。
ア 対人保険 1人当り 8,000万円以上
イ 対物保険 1件当り 200万円以上
ウ 搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含む。) 搭乗者1人当り 500万円以上
となっています。(※平成18年3月31日公示)上記の内容が十分かどうかは事業者の判断となるかと思いますが、個人的な意見としてはどの内容も十分ではなく、特に対物保険1件当たり200万円以上というのは非常に低いと感じます。
また、実際に利用されるレンタカー車両に対する保険については記述が全くありません。
これは、利用中にぶつけてしまったレンタカー車両の修理費を利用者が全額補償する契約でも問題ないということになります。
では、実際のレンタカーの保険内容はどうなっているのでしょうか。
まずは大手レンタカーを調べてみました。
大手レンタカー保険比較
追加料金が発生しない標準で付帯されている内容を調べてみました。
どの店舗でも対人・対物は無制限、人身傷害は3,000万円、車両は時価額の補償でした。
ただし、ロードサービスが付いているか付いていないか(別途有料)の差はありました。
車両保険の免責金に若干の差がありましたが、車両の大きさによって免責金が変わるのはどこも同じでした。(トラックやマイクロバス等が10万円)
また、追加料金を支払えば免責金やノンオペレーションチャージの補償制度も適用され、補償内容としては十分な内容だと感じました。
1日〜数日の貸出しがメインのため、補償制度へ加入しても大きな出費にはなりませんが、長期間借りる場合は補償制度へ加入するかはよく検討した方がいいかもしれません。
※免責補償は1回目の事故の免責金を補償する制度です。2回目以降の免責金は請求されます。また、大きな事故を起こしてしまった場合、契約期間中でも車両を返却する必要が生じるケースも考えられます。
中長期専門店(ウィークリーレンタカー・マンスリーレンタカー)の保険比較
次に中長期専門店(ウィークリーレンタカー・マンスリーレンタカー)を調べてみました。
対人・対物は無制限でしたが、搭乗者傷害/人身傷害保険の違いと補償額に差がありました。※搭乗者傷害よりも人身傷害保険の方が補償範囲が広くなります。
また、ロードサービスについての記載が見つけられない店舗もありましたので、有料のオプションや実費負担の可能性があります。
対物免責、車両免責にも差がありました。大きな車や高級車は、免責金が10万円となっていました。
免責金が5万円のみとなっている店舗は軽自動車やコンパクトカーが中心のラインナップで、ハイエースやトラック、マイクロバスの取り扱いはありませんでした。
大手レンタカーではノンオペレーションチャージを補償するサービスもありましたが、筆者が比較した中長期専門店の中では採用している店舗はありませんでした。
免責補償制度は1回目の事故の免責金のみを補償する制度です。そのため、借りる期間が長くなれば長くなるほど利用者にとって良い条件とは言えなくなる可能性があります。
実際の運用上では少しバンパーを擦ってしまったり、ホイールキャップに傷を付けてしまった等では、契約終了とする店舗は無いと思いますが、
全損事故の様な大きな事故を起こしてしまった場合、その車両自体が使えなくなってしまいますので、契約期間が残っていたとしても契約は終了となります。
※各店舗の判断で対応が異なると思いますので、詳細はそれぞれの店舗へご確認ください。
免責保障制度への加入は「借りる目的」「契約期間」「運転頻度」「過去の事故歴」などを考慮した上で検討することをお勧めします。
また、ウィークリーレンタカーやマンスリーレンタカーを利用する場合、搭乗者傷害/人身傷害の補償額が皆さんにとって十分かどうかも検討材料に入れることをお勧めします。
格安店(ウィークリーレンタカー・マンスリーレンタカー)の保険比較
最後に格安店(ウィークリーレンタカー・マンスリーレンタカー)を調べてみました。
格安店は補償制度が非常に複雑に見えました。
対人・対物が無制限となっている点は安心出来ますし、人身傷害が3000万円という点も好感が持てました。
ただし、対人や人身傷害にも免責が付いている様な表記になっていましたので、契約前に確認することをお勧めします。
また、注意点として「重過失事故」や「追突事故」による損害金の設定があり、非常に高額となっていました。
古い車両が多いためか、車両保険未加入としている店舗も多かったです。
ロードサービスについての記載も少なく、事故時のレッカー費用等は自己負担になる可能性があります。
それ以外にも「ライト消し忘れによるバッテリーあがり」は有料と記載がある店舗もありましたので、
契約前にロードサービスの内容や料金についての確認も必要だと感じました。
免責補償制度への加入料が他に比べ安価なのは良い点ですが、有料の車両保険に加入することが必須である店舗もありましたので、
想定以上の利用料金になる可能性があるので注意が必要です。
レンタカー会社を選ぶ際には、「補償内容」や「ロードサービスの内容」以外にも、
「万が一の事故時の負担金」、「免責保障制度への加入の必要性有無」などを検討材料にしてはいかがでしょうか。
また、どの店舗(大手レンタカー/中長期専門店/格安店)でも同様ですが、事故を起こしてしまった場合は速やかに必要な手続き(レンタカー会社への報告や警察への報告等)を取るようにしましょう。
必要な手続きが取られていない場合、保険手続きができなくなったり、想像以上の損害金を支払わなければいけなくなる可能性があります。